両建てはリスク回避になる?メリット・デメリットとトレード手法を解説!

FXの世界には「両建て」という独特な手法が存在します。これは買いと売りのポジションを同時に持つことで、一見すると意味がないように思えるかもしれません。しかし、正しく理解して活用すれば、両建てはリスク回避になるだけでなく、強力な武器にもなり得るのです。

この記事では、両建ての基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そしてプロが実践する具体的なトレード手法までを詳しく解説します。教科書的な知識だけでなく、現場で役立つ実践的なテクニックをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

目次

FXの両建てとは?

FXを始めたばかりの方にとって、両建てという言葉は少し聞き慣れないかもしれません。通常の取引では、上がると思えば買い、下がると思えば売るのが基本です。しかし、この両建てはその常識を覆すような面白い特徴を持っています。まずは基本的な仕組みをしっかり理解しておきましょう。

1. 売りと買いのポジションを同時に持つ仕組み

両建てとは、同じ通貨ペアで「買いポジション」と「売りポジション」を同時に保有する状態のことです。例えば、米ドル/円で1ドル100円の時に、買いと売りの両方の注文を出して持っている状態を指します。

通常であれば、相場が動けば利益か損失のどちらかが出ます。しかし、両建てをしている状態では、相場が上がっても下がっても、片方で出た利益ともう片方の損失が相殺されます。つまり、口座内の評価損益が変動しなくなるのです。まるで時間が止まったかのような状態を作れるのが、この仕組みの最大の特徴と言えます。

2. 「買い」と「売り」の注文を入れる手順

実際に両建てを行うための手順は非常にシンプルです。特別な申請や複雑な設定は必要ありません。普段使っている取引画面から、以下の流れで注文を入れるだけで完了します。

  • 新規注文で買いポジションを持つ
  • 新規注文で売りポジションを持つ

まず買いポジションを持ち、その直後に売り注文を入れることで両建てが成立します。もちろん、売りから入って後から買いを足しても同じ状態になります。また、最初から両方の注文を同時に入れる機能を持っているFX会社もあります。

両建てはリスク回避になる?

多くのトレーダーが両建てに興味を持つ理由は、やはり「リスク回避」としての側面が大きいでしょう。相場が予想と逆の方向に動いた時、損失がこれ以上拡大しないようにロックできるからです。ここでは、なぜ両建てが防御策として有効なのかを見ていきます。

1. 相場の急変動から資産を守る効果

重要なニュースや経済指標の発表がある時、相場は乱高下することがあります。どちらに動くか予測がつかない場面でポジションを持っているのは怖いものです。そんな時、一時的に両建てにしておけば、どんなに相場が荒れても損失額は変わりません。

例えば、買いポジションを持っていて相場が下がり始めたとします。ここで慌てて売りポジションを持てば、その時点での損失額で固定されます。その後どれだけ暴落しても、売りポジションの利益が買いポジションの損失をカバーしてくれるのです。嵐が過ぎ去るのをシェルターの中で待つような安心感が得られます。

2. 精神的な余裕が生まれる理由

FXで負ける大きな原因の一つに、焦りによる判断ミスがあります。損失が膨らんでいくのを見ていると、冷静な判断ができなくなりがちです。しかし、両建てにして損益を固定してしまえば、とりあえず損失の拡大は止まります。

「これ以上はお金が減らない」という状況は、トレーダーに大きな心の余裕を与えてくれます。冷静になってチャートを分析し直したり、次の戦略を練ったりする時間を確保できるのです。この「時間を買う」という感覚こそが、両建てがもたらす隠れたメリットかもしれません。

両建てを行う3つのメリット

リスク回避以外にも、両建てには攻めのメリットが存在します。うまく活用すれば、通常のトレードでは得られない利益のチャンスを生み出すことも可能です。ここでは、トレーダーにとって嬉しい3つのポイントを紹介します。

  • 損失の固定
  • 決済タイミングの自由度
  • スワップポイント差益

1. 損失を固定して相場の様子を見られる

先ほどのリスク回避とも重なりますが、損失を固定できる点は最大のメリットです。損切りをする決断がつかない時、とりあえず両建てにしておくことで、最悪の事態を防げます。

相場が落ち着いてから、じっくりと解除のタイミングを探ることができます。強制ロスカットの危険が迫っている時などの緊急避難としても非常に有効な手段となります。

2. 決済のタイミングを自由に選べる

両建ての状態から利益を出すには、片方のポジションを決済し、もう片方が利益になるのを待つのが基本です。この時、どのタイミングでどちらを決済するかを自分で決められます。

例えば、相場が底を打って上昇に転じると判断したら、売りポジションを決済して利益(または損失)を確定させます。その後、残った買いポジションが上昇して利益が出るのを待てば良いのです。相場の転換点を狙い撃ちできるのが強みです。

3. スワップポイントの差益を狙える可能性

通常、両建てをするとスワップポイント(金利差調整分)は支払いの方が多くなり、マイナスになることがほとんどです。しかし、稀に「買いスワップ」と「売りスワップ」の差がプラスになる組み合わせやFX会社が存在します。

もしそのような条件が見つかれば、両建てをしているだけで毎日チャリンチャリンと金利差益が入ってくることになります。為替変動のリスクをゼロにしながら、スワップポイントだけを受け取るという夢のような運用が可能になる場合もあります。

両建ての2つのデメリット

良いことばかりのように思える両建てですが、当然ながらデメリットもあります。ここを理解せずに安易に手を出してしまうと、手数料負けして資金を減らすことになりかねません。以下の2点は必ず覚えておいてください。

デメリット内容
コストの増加スプレッド(手数料)が2倍かかる
マイナススワップ日々の保有コストが発生する

1. スプレッド(手数料)が2倍かかるコスト

FXの取引にはスプレッドという実質的な手数料がかかります。両建てをするということは、買いと売りの2つのポジションを持つことになるため、当然スプレッドも2回分支払うことになります。

通常の片道トレードに比べてコストが倍になるため、その分だけ利益を圧迫します。頻繁に両建てと解除を繰り返していると、スプレッド貧乏になってしまう可能性があるので注意が必要です。無駄なエントリーは控えるべきでしょう。

2. マイナススワップによる日々の支払い

先ほどメリットでスワップポイントの差益について触れましたが、現実はその逆のパターンが圧倒的に多いです。多くのFX会社では、受け取るスワップよりも支払うスワップの方を高く設定しています。

そのため、両建ての状態で日をまたぐと、その差額分だけ毎日マイナスが発生します。長く持てば持つほどジワジワと資産が削られていくことになります。長期的な両建ては、コスト面での負担が大きくなることを覚悟しなければなりません。

利益を出すための具体的なトレード手法

ここからは、実際に利益を出すための具体的なテクニックを紹介します。単に両建てをして放置するのではなく、相場の動きに合わせて能動的に動くことでチャンスが生まれます。少し上級者向けの内容になりますが、覚えておいて損はありません。

1. レンジ相場での回転売買テクニック

一定の幅で上がったり下がったりを繰り返すレンジ相場は、両建ての絶好の稼ぎ場です。この手法では、レンジの上限付近で売り、下限付近で買いを入れます。

  • レンジ上限で売りポジションを追加
  • レンジ下限で買いポジションを追加
  • 利益が出たポジションから順次決済

相場が上がれば買いポジションを利食いし、下がれば売りポジションを利食いします。これを繰り返すことで、往復で利益を積み上げることができます。含み損を抱えたポジションは残りますが、レンジ内であればいずれ戻ってくる可能性が高いため、我慢して持ち続ける戦略です。

2. ブレイクアウトを狙った両建ての外し方

相場がレンジを抜けて大きく動き出す「ブレイクアウト」の瞬間も狙い目です。両建て状態で待機し、大きく動いた方向に合わせて片方のポジションを外します。

例えば、上に大きくブレイクしたと判断したら、即座に売りポジションを損切りします。そして残った買いポジションを伸ばして、損切り分以上の利益を狙います。方向感がつかみにくい時に、トレンド発生の初動に乗り遅れないための有効な戦術です。

経済指標発表時を狙った両建て

雇用統計などの重要指標発表時は、数秒で1円近く動くことも珍しくありません。この激しい値動きを利用して利益を狙う際にも、両建ては非常に役立ちます。ギャンブル的なトレードを避け、勝率を高めるための工夫を見ていきましょう。

1. 大きな値動きを捉えるための仕込み方

指標発表の直前、今の価格に近いところで買いと売りの両方の注文を入れておきます。この時、あらかじめ両方のポジションに「指値(利益確定)」と「逆指値(損切り)」を設定しておくのがポイントです。

発表と同時に価格がどちらかに飛んだ瞬間、利益方向のポジションが伸び、損失方向のポジションはすぐに損切りされます。値動きが大きければ大きいほど、損切り幅よりも利益幅が大きくなり、トータルでプラスにできる可能性があります。

2. 指標発表直後の決済タイミング

指標トレードで大切なのは欲張らないことです。発表直後の急騰・急落は、すぐに元の水準に戻る「全戻し」が起きることもよくあります。そのため、利益が乗ったら素早く決済することが重要です。

両建てを活用していれば、万が一相場が往って来い(行って戻って)になっても、両方とも損切りにかかってしまうリスクはありますが、大怪我は防ぎやすくなります。瞬発力が求められる手法ですが、決まれば短時間で大きな利益を得られます。

ボーナスやポイントを活用した両建て

FX会社によっては、取引量に応じたポイント還元や、口座開設時のボーナスを提供しているところがあります。これらを賢く利用することで、実質的なコストを下げたり、リスクなしで利益を出したりすることが可能です。

1. キャンペーンを利用して実質コストを下げる

「取引高に応じてキャッシュバック」といったキャンペーンを行っている期間はチャンスです。両建てでポジションを持ち、すぐに決済することを繰り返せば、為替差益による損益はほぼプラスマイナスゼロになりますが、取引高だけは稼げます。

もちろんスプレッド分のコストはかかりますが、キャッシュバック額がスプレッドコストを上回る設定であれば、その差額がそのまま利益になります。ただし、この手法を禁止している会社もあるので、規約は必ず確認しましょう。

2. FX会社ごとのポイント還元の仕組み

最近では、取引ごとに独自のポイントが貯まるFX会社も増えています。貯まったポイントは現金やギフト券に交換できたり、証拠金として使えたりします。

両建てをうまく使ってリスクを抑えつつ取引回数をこなし、ポイントを効率よく貯めるのも一つの手です。地味な作業にはなりますが、塵も積もれば山となるの精神で、確実なリターンを狙う堅実なトレーダーも存在します。

年末の節税対策としての活用

FXで利益が出すぎてしまった年の年末、税金の支払いが心配になることがあります。そんな時、両建てを使うことで課税のタイミングを調整できる場合があります。これは知っている人だけが得をするテクニックです。

1. 利益確定を翌年に繰り越すテクニック

含み益が出ているポジションがあるけれど、今年の利益として確定させたくない場合、両建てを利用します。年末に反対売買(売り注文など)を行って両建て状態にすると、その時点での利益額がロックされます。

決済をせずに年を越し、翌年になってから両方のポジションを決済すれば、利益は翌年分として計上されます。これにより、税金の支払いを1年先延ばしにする効果が期待できます。資金繰りに余裕を持たせるための賢い知恵です。

2. 損失を確定させないための調整方法

逆に、含み損がある場合も同様です。今年の損失として計上したくない、あるいは来年の利益と相殺したい場合などに、両建てで損失額を固定して年を越すことができます。

税金の計算は1月1日から12月31日までの確定損益で行われます。両建てを活用することで、自分の都合の良いタイミングで損益を実現させ、納税額をコントロールする自由度が生まれるのです。

両建てが禁止されているケース

非常に便利な両建てですが、どんなやり方でも許されるわけではありません。FX会社の規約や、システム上の制約で禁止されている行為があります。知らずにやってしまうと、口座凍結などのペナルティを受ける恐れがあるので注意が必要です。

  • 異業者間両建て
  • システムを悪用した取引
  • 経済合理性を欠く頻繁な取引

1. 異なるFX会社間での両建て(アービトラージ)

A社で買い、B社で売りというように、異なるFX会社を使って両建てをすることを「異業者間両建て」と言います。これはスワップポイントの差取り(アービトラージ)などでよく使われますが、多くのFX会社で明確に禁止されています。

会社ごとのレート配信のズレや、スワップ設定の隙を突くような取引は、運営側にとって不利益になるからです。バレないと思っていても、システム検知などで発覚するケースは多いので、絶対に避けるべきでしょう。

2. 経済合理性を欠く取引への注意点

同一口座内であっても、あまりにも頻繁に両建てと決済を繰り返したり、ポイント取りだけを目的にしたような取引は監視の対象になります。「通常の為替取引として不自然」と判断されると、警告を受けたり取引制限をかけられたりすることがあります。

あくまで通常のトレード戦略の一環として両建てを利用することが大切です。ルールの範囲内で、正々堂々と活用しましょう。

両建てに向いているFX会社の選び方

両建てを戦略に組み込むなら、どこのFX会社を使うかも重要なポイントになります。会社によって両建て時のルールやコストが異なるからです。有利にトレードを進めるためにチェックすべき点を見てみましょう。

1. 両建て時の証拠金計算ルールの違い

両建て時の証拠金(取引に必要な資金)の計算方法は、FX会社によって2つのパターンがあります。「売りと買いの両方の証拠金が必要な会社」と、「多い方のポジション分だけで良い会社(MAX方式)」です。

資金効率を考えるなら、断然「MAX方式」を採用している会社がおすすめです。少ない資金で両建て状態を維持できるため、資金管理が楽になります。口座開設前に必ず確認しておきたい項目です。

2. スプレッドの狭さと約定力の高さ

デメリットの項目でも触れましたが、両建てはコストが倍かかります。そのため、基本のスプレッドが業界最狭水準の会社を選ぶことは必須条件です。少しの差が、積み重なると大きな金額になります。

また、狙ったタイミングで確実に注文が通る「約定力」も重要です。相場急変時に両建てで逃げようとしたのに注文が滑って約定しなかった、となっては目も当てられません。安定したシステムを持つ会社を選びましょう。

まとめ

今回はFXの両建てについて、その仕組みから実践的な活用法まで解説してきました。両建ては単なる「守り」の手段ではなく、使い方次第で利益を生み出す「攻め」の武器にもなることがお分かりいただけたかと思います。

特に、レンジ相場での利益積み上げや、税金対策としての活用は、中級者以上へのステップアップとして非常に有効です。ただし、スプレッドやマイナススワップといったコスト管理はシビアに行う必要があります。

まずは少額から試してみて、自分なりの両建てスタイルを見つけてみてください。相場の波に翻弄されるのではなく、波を乗りこなすための道具として、両建てを賢く使いこなしていきましょう。次のトレードでは、ぜひ新しい選択肢として検討してみてください。

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